ビジュエルド』のシステムとソーシャルゲー

エレクトロニック・アーツのゲームブランド"ポップキャップ・ゲームズ"でシニアプロデューサーを務める、マット・スミス氏にインタビューを行った. ポップキャップ・ゲームズは、世界的に人気のパズルゲーム『Bejeweled(ビジュエルド)』や、『Plants vs. Zombies(プラント vs. ゾンビ)』などを手掛ける人気ブランド. 6月にサービスを開始した、GREE(グリー)向け ソーシャルPZG『ビジュエルド伝説』 は、『ビジュエルド』をベースに、パズルゲームと海賊をテーマにしたストーリーを融合させたゲームだ. ソーシャル要素として、ランキング機能でスコアを競ったり、友だちと協力してボスバトルに挑んだりできる. インタビューでは、『ビジュエルド伝説』を開発した経緯に加えて、ポップキャップ・ゲームズについて語っていただいた. 日本で暮らすようになって2年というマット氏. 短期間で日本語が上達したのは、日本語で接する友人のおかげだという. ライトユーザーとコアユーザーが楽しめるゲーム開発がモットー ――まず最初に、ポップキャップ・ゲームズがどういうブランドなのか教えていただけますか? ポップキャップ・ゲームズは、2000年に創業者3人がガレージからスタートさせた会社です. ポップキャップ・ゲームズのミッションはとにかくシンプルで、"世界を楽しくしたい"ということ. いいゲームで、誰でも楽しめるゲームを作るのをモットーにしています. 今は600人を超えるスタッフが働いていますが、根本となるミッションは創業時から変わっていません. ――誰でもプレイできるゲームの開発というのは、大変ですよね. 誰でもプレイしやすいというのには、いくつか意味があります. 1つ目の要素は、ゲームへのアクセスの仕方. 会社が創業した2000年はゲームはコンソールでプレイすることが主流だったのですが、ハードを持っていない人は遊べなかった. ダウンロードすることも通信速度が遅くて、簡単ではなかった. そこで、Javaベースで軽い『ビジュエルド』というソフトを開発して、ポップキャップ・ゲームズが始まりました. もう1つの要素は、"ゲームプレイそのもののデザイン"です. 例えば弊社の『ペグル』はすごくシンプルで、パチンコのように球をはじいてブロックを消していくというだけ. 誰でも遊べて、ゲームにあまり触れたことのない中年層でも楽しめる. 一方で、コアなゲーマーにも、非常に奥深いゲーム要素を提供しているので、スコアを競いながらゲームにハマれる. その2つが、わが社のソフトのユニークなところです. ――開発していた時に起きた、何かおもしろいエピソードはありますか? ポップキャップ・ゲームズでは、大体のソフトにおいて開発に長い時間がかかります. 『プラント vs. ゾンビ』は、3~4人のチームで時間をかけて作りました. ものによっては、そこまでかけないこともありますし、時間をかけてもダメなことがあります. 『プラント vs. ゾンビ』は、素早く考えて植物を植え、ゾンビの大群から庭を守るタワーディフェンスゲーム. ゲーム性に加えて、かわいらしい植物とゾンビのビジュアルも話題となった. ただ、つねにフォーカスしているのは、ベースとなるゲームシステムがおもしろいことです. そこから要素を加えていくというアプローチでゲームを作っています. 一方で、開発中に自分たちが遊んでいて、当初なかったようなルールを組み込んでみることもあるのです. それが想定していたものよりも、おもしろいゲームが生まれそうな気配がしたならば、そこを新しい要素としてフォーカスしてゲームを作り直すこともあります. ユニークな作られ方をしたのが、『Bejeweled Blitz(ビジュエルド ブリッツ)』です. 実はこのゲームは開発に時間がかからず、1カ月くらいでできた作品です. 『ビジュエルド』の新しい遊びをできないか考えている時に、バグ出しのために10秒間だけプレイできるモードを作ったんですよ. プレイしていたら、時間制限を区切ってやるのがおもしろいと感じて、そこから調整して1分の時間内でスコアを競うゲームになりました. ――開発者たちが集まって話し合う機会はあるのですか? 年に数回、"ポップキャンプ"というものがあります. 普段の仕事を忘れて、集まった人たちが即席で開発チームを作り、何でもいいからゲームを作ります. そこから、いいアイデアが出て、ゲームができあがることもあるのです. iOSの『アンプレゼントホース』や『Candy Train(キャンディ トレイン)』などは、このポップキャンプのゲームから生まれました. 他にも、現在開発しているものがありますね. ――『プラント vs. ゾンビ』といえば、北米ではDS版が大ヒットを記録しましたね. 実は、DS版は僕が作ったんです(笑). 去年の北米におけるDS市場のサードパーティで、一番売れたソフトが『プラント vs. ゾンビ』でした. 東京オフィスで北米向けに作って北米で売るという、ちょっと変わったパターンでしたね. 北米でDSをうまく作れる会社が見つからなかったので、そういうパターンになりました. アディダス 次のページで『ビジュエルド伝説』について語る.